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睡眠時無呼吸症候群(SAS)

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは

睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)とは、睡眠中に繰り返し呼吸が止まったり浅くなったりする病気です。1時間あたりの無呼吸・低呼吸の回数(AHI)が5回以上の場合に診断されます。

日本国内の潜在的な患者数は約300万人以上と推定されていますが、ご本人が気づいていないケースが多く、ご家族やパートナーの指摘がきっかけで受診される方が少なくありません。

放置すると、日中の強い眠気による事故リスクだけでなく、高血圧・心筋梗塞・脳卒中・糖尿病など命に関わる合併症のリスクが高まります。

こんな症状はありませんか?(セルフチェック)

  • 家族やパートナーにいびきや呼吸停止を指摘されたことがある
  • 十分な睡眠時間をとっているのに日中に強い眠気がある
  • 朝起きた時に頭痛がする、熟睡感がない
  • 夜中に息苦しさで目が覚めることがある
  • 夜間に何度もトイレに起きる
  • 集中力の低下や、日中の倦怠感が続いている
  • 運転中に眠気を感じることがある

上記に当てはまる方は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。「いびきがひどい」だけでは済まない病気ですので、気になる方は早めにご相談ください。

睡眠時無呼吸症候群の原因

睡眠時無呼吸症候群の多くは「閉塞性」と呼ばれるタイプで、睡眠中にのどの筋肉が緩み、気道が狭くなったり塞がったりすることで起こります。主な原因やリスク因子は以下の通りです。

  • 肥満:首周りの脂肪が気道を圧迫する最大のリスク因子です
  • 顎の形状:下顎が小さい方や奥に引っ込んでいる方は気道が狭くなりやすい傾向があります
  • 扁桃腺やアデノイドの肥大
  • 加齢:筋力の低下により気道が閉塞しやすくなります
  • 飲酒・睡眠薬の使用:筋弛緩作用により気道が塞がりやすくなります
  • 鼻づまり:アレルギー性鼻炎や鼻中隔湾曲症など

痩せている方でも、顎や舌の形状、鼻の構造によって発症する場合があります。「太っていないから大丈夫」とは限りません。

当院での検査

簡易検査(自宅で実施)

当院では、ご自宅で行える簡易検査に対応しています。小型の検査機器をお貸し出しし、就寝前にセンサーを装着して一晩記録するだけの検査です。鼻と指先にセンサーを付け、呼吸の状態と血液中の酸素濃度を測定します。翌朝に機器を返却いただき、データを解析して無呼吸・低呼吸の回数(AHI)を判定します。

検査費用は保険適用(3割負担)で約3,000〜4,000円程度です。

精密検査(PSG検査)が必要な場合

簡易検査でAHIが40未満の場合、より詳しい精密検査(終夜睡眠ポリグラフィー検査:PSG)が必要になることがあります。当院では、ご自宅で実施できる在宅PSG検査に対応しています。検査機器をお貸し出しし、ご自宅で一晩装着していただくだけで、脳波・筋電図・心電図なども含めた総合的な睡眠データを記録できます。入院の必要はありません。

治療法

CPAP療法(持続陽圧呼吸療法)

中等度〜重症の睡眠時無呼吸症候群に対する最も標準的な治療法がCPAP(シーパップ:Continuous Positive Airway Pressure)療法です。

就寝中に鼻に専用のマスクを装着し、一定の圧力をかけた空気を気道に送り込むことで、睡眠中の気道閉塞を防ぎます。多くの方が使用初日から、いびきの改善や熟睡感の向上を実感されています。

保険適用の条件:

  • 簡易検査でAHI 40以上
  • または精密検査(PSG)でAHI 20以上

CPAP治療を保険で継続するためには、原則として月1回の外来受診が必要です。当院では、CPAP使用状況の確認、マスクのフィッティング調整、治療効果のモニタリングを行っています。自己負担額は3割負担の方で月額約5,000円前後です。

マウスピース療法

軽度〜中等度の方には、就寝中に装着するマウスピース(口腔内装置)が有効な場合があります。下顎を前方に保持することで気道を広げる仕組みです。当院から歯科医療機関へ紹介状を作成し、保険適用で作製することができます。

生活習慣の改善

  • 減量:体重を5〜10%減らすだけでもAHIが改善する報告があります
  • 横向き寝:仰向けより気道が確保されやすくなります
  • 飲酒を控える:特に就寝前の飲酒は気道閉塞を悪化させます
  • 禁煙:喫煙は気道の炎症・むくみを引き起こします

睡眠時無呼吸症候群と循環器疾患・呼吸器疾患の関係

睡眠時無呼吸症候群は、循環器疾患と深い関わりがあります。睡眠中の無呼吸のたびに血液中の酸素濃度が低下し、心臓や血管に大きな負担がかかります。

SAS患者では、高血圧の合併率が約50%とされており、治療抵抗性高血圧(薬を飲んでも下がりにくい高血圧)の原因としても注目されています。SASを放置した場合、健常者と比べて高血圧は1.5〜3倍、脳卒中は3.3倍、不整脈は3.26倍、虚血性心疾患は2.5倍、2型糖尿病は2.3倍リスクが高まるとされています。

また、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などの呼吸器疾患とSASが合併する状態は「オーバーラップ症候群」と呼ばれ、それぞれ単独の場合と比べて夜間の低酸素がより重症化しやすいことが知られています。SASとCOPDの両方をお持ちの方は、適切な診断と治療の組み合わせが重要です。

当院は循環器科を併設しており、在宅酸素療法(HOT)にも対応しています。睡眠時無呼吸症候群と循環器疾患・呼吸器疾患を合わせて診療できることが当院の大きな特長です。高血圧や不整脈で通院中の方、COPDで治療中の方で、いびきや日中の眠気がある方は、ぜひ一度ご相談ください。

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